研究概要 |
ドパミン神経幹細胞の増殖培養と凍結保存技術:胎性12日又は14日ラット中脳より実体顕微鏡下に採取したドパミン神経幹細胞を塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を用い増殖させセルバンカー2を用いて凍結保存するプロトコールを確立した. D-β-hydroxybutyrateの作用の検討:D-β-hydroxybutyrate(DBHB,ケトン体)がMPP^+によるドパミン神経細胞死を抑制することを見出した(Proc Natl Acad Sci USA,2000). GAPDHの検討:MPP+による神経細胞死がアポトーシスであり,GAPDHの過剰発現と核内移行を伴うこと、GAPDHに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドにより,MPP^+誘発性アポトーシスを抑制できることを示した(Neuroreport,2001). 中脳由来幹細胞の増殖における血清添加と細胞外マトリックスの影響:中脳由来神経幹細胞と線条体由来神経幹細胞を比較し、血清添加の影響を検討した.線条体由来神経幹細胞は2%血清添加が増殖効率を上昇させたが、中脳由来神経幹細胞では完全無血清のほうが効率が高かった.分化誘導における細胞外マトリックスの検討ではfibronectin, poly-D-lysine (PDL), laminin, collagen, glassなどを比較検討した.各細胞外マトリックス上にて,FGF-2存在,非存在の条件において,nestin, nurr-1,sonic hedgehog, en-1,en-2,smo, pax-2,pax-8の発現パターンを検討した.Fibronectinを用いた培養で未熟なドパミン神経のマーカーであるnurr-1及びen-2が強く発現することを見出した(Society for Neuroscience. Abst # 329.8,2002) 分化培養条件の検討:分化培地に種々の分化因子,栄養因子等を添加してその効果を検討した.ドパミン神経への分化培養にはdopamine(10μM), forskolin(10μM),脳由来神経栄養因子(BDNF,50ng/ml)3者の添加により効率を高めることに成功した.
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