研究概要 |
1.クリオグロブリン血症をともなったHCV肝炎患者で,ニューロパチーを呈した症例の詳細を専門誌に発表した(臨床神経学40:591-595,2000).この症例では脳神経を含むmultiple mononeuropathyとpolyneuropathyが混在し,しかも症状が変動する点が特徴的であった. 2.科学研究費の交付内定(平成12年10月)の後,当大学附属病院内科肝臓外来担当医師の協力を得て,患者用のパンフレットを作成し,症例の検討を開始した.現在のところ希望者が神経内科を受診している.ニューロパチー発症例は上記症例も含めて3例である.いずれの症例もクリオグロブリン血症をともない症状の変動がみられる.電気生理学的には,軽症例でははっきりした異常の検出は困難であった.軽症例は一般内科外来で器質的疾患はないと診断される可能性がある.神経生検は現時点では実施例なし. 3.免疫反応によるサイトカインの産生がiNOS誘導によるNO産生をもたらし,これが組織破壊に関与することが動物実験では知られている.HCVに関連したニューロパチーでもこの機序が関連する可能性を想定した.予備実験として,一過性脳虚血動物の海馬におけるiNOSと組織障害の関連を検討し,その成果をIVth.International Stroke Congress(Melbourne,Australia,Nov25-29,2000.)で発表した.今後,生検神経で応用予定である.
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