今回の研究の目的は、核磁気共鳴法を用い、ラット脳glucose代謝における嫌気性解糖および好気性解糖の関与の度合いを、生体にてdirectに測定し得る手法を開発し、その手法を正常動物および疾患モデル動物に応用することである。これを目的とし我々は以下の研究を行い以下の結果を得た。 1.1H[13C]-MRSによる局所脳glucose代謝(CMRglu)測定法の開発 (1)小動物における1H-MRSイメージング法の開発および正常・疾患ラットへの応用:脳内の代謝物を0.97x0.97x4mmの領域から定量することを可能とした。 (2)1H[13C]MRSによる局所CMRglu測定法の開発および正常ラットへの応用:ハロセン麻酔下のラットのCMRgluは0.31±0.08μmol/min/gであった。 2.局所酸素代謝CMRO2測定法の開発 (1)170を用いたCMRO2測定法の開発:spin lock imagingを応用して0.45x0.9mmの精度で170濃度のmappingを行いえた。基礎的な検討としてH2[17]0をbolus投与し、測定されたラットcortexの脳血流量(rCBF)は175±12ml/100g/minであった。 (2)BOLD効果を用いたCMRO2測定法の開発および正常・疾患ラットへの応用:造影剤を用いずにCMRO2の相対変化を測定、脳虚血モデルに応用した。 (3)局所脳血流量(rCBF)、局所脳血液量(rCBV)の測定法の開発:CMRO2計算に必要なrCBF、rCBVの測定法を開発し、脳虚血モデルに応用した。
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