砂ネズミ一過性前脳虚血モデルを用い、以下の実験を行った。砂ネズミの両側総頚動脈を動脈瘤クリップを用いて閉塞することで虚血を導入した。実験動物は以下のように4群に分類した。I群は非致死的虚血後に致死的虚血を加える虚血耐性獲得群で、5分間虚血の48時間後前に2分虚血を加えた。II群は、非致死的虚血のみを加える群で、実験48時間前に2分虚血のみを作成した。III群は致死的虚血のみを加える群で、5分虚血のみを作成した。IV群は対象群で、sham手術のみを行い、全く虚血を加えなかった。病理組織学的検討を行い、致死的虚血導入後7日後に海馬レベルでのパラフィン包埋切片を作成し、Hematoxylin-Eosin染色を行ない、1mmあたりの生存海馬CA1錐体細胞数を測定した。その結果、虚血耐性獲得群(I群)では、虚血耐性非獲得群(III群)に比し、神経細胞数は有意に多かったことを示した。また、TUNEL法でDNA fragmentationを測定した結果、虚血耐性非獲得群(III群)では、致死的虚血導入後2日より海馬レベルでDNA断片化を示した。 Caspase-3の免疫組織化学的検討を行ったが、虚血酸性獲得群(I群)では致死的虚血導入2日後において海馬CA1領域にcaspase-3の発現が認められた。今年度はcaspase inhibitorである。Z-DEVD-FMKを投与して虚血耐性に及ぼす影響を検討した。Z-DEVD-FMKは非致死的虚血直前、致死的虚血導入24時間前、致死的虚血導入直前(30分前)に脳室内投与した。現在、その結果について解析中であり、報告予定である。
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