研究概要 |
平成12年度科学研究費補助金を受けて,われわれは遺伝子工学技術により作成された2種類の変異マウスの交配実験に着手した.まず,交配によって得られた2種類の変異を持つマウスがメンデル遺伝するか否かを確認するために,変異SOD1 transgenic mouseにおいて,変異遺伝子が一塊となって導入されているか否か,どの染色体に導入されているかについての情報収集を行った.その結果,変異遺伝子は一塊となって導入されていることが確認されたが,どの染色体上に存在するかは不明であった.しかし2000年9月に,iNOSと同じ染色体上に存在するp53のknockout mouseと変異SOD1 transgenic mouseとの交配実験の結果が報告されたので,同様の手法を用いることにより,われわれの実験系が予測通り稼動することが確認された.次にわれわれは,交配によって得られたマウスの遺伝子型を確実に同定するため,変異SOD1についてはPCR法・FISH法・酵素活性測定法,iNOSについてはNothern blot法の実験系の確立と手技の修得を行った.さらに,交配マウスを病理学的に観察するために,変異SOD1およびiNOS,さらにnNOSやnitrotyrosineなど変化の予測される物質を免疫組織化学的に同定する実験系を確立した.以上のように交配実験に関する基礎準備はほぼ終了し,現在Jackson laboratoryからの変異SOD1 transgenic mouseの到着を待機中である.到着後すぐにわれわれのiNOS knockout mouseとの交配を行い,遺伝子型を確認後,行動解析・病理学的検索を行う予定である.
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