研究概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の神経細胞脱落におけるiNOS関与の解明のため、我々はまず米国The Jackson Laboratoryから変異SOD1 transgenic(mSOD1 Tg/W)mouse[B6SJL-TgN(SOD1-G93A)1Gur]、iNOS knockout(iNOS -/-)mouse[B6.129P2-Nos2^<tm1Lau>の2種のマウスを購入した。それぞれ3世代継代繁殖させ、それぞれの運動機能、繁殖能力、生存日数などについて観察を行った後、mSOD1 Tg/Wの雄とiNOS -/-の雌を交配し、mSOD1 Tg/W II iNOS -/+およびmSOD1 W/W II iNOS -/+の遺伝子型を持つマウスを作成した。前者の雄と後者の雌を交配し、最整的にmSOD1 Tg/W II iNOS -/-,mSOD1 Tg/W II iNOS -/+,mSOD1 Tg/W II iNOS +/+の遺伝子型を持つ3群のマウスの作成に成功した。mSOD1 Tg/WかつiNOS -/-,-/+,+/+およびmSOD1 W/WかつiNOS -/-,-/+,+/+の6群において各遺伝子型から8-12匹を任意抽出し、遺伝子型をblindして,生後70日目から自力摂食できなくなるまで、週2回午前6時に臨床徴候・体重・Rotarod稽留時間・握力・生存日数の観察を行った。その縛果、発症週齢・生存日数・体重に関しては3群間で有意な差は認められなかったが、臨床徴候・Rotarod稽留時間に関しては、mSOD1 Tg/W II iNOs +/+と比較してmSOD1 Tg/W II iNOs -/+では発症後7日目から14日目にかけて、mSOD1 Tg/W II iNOS -/-では発症後7日目から10日目にかけて有意な低下が認められた。握力に関しては有意差には達しなかったが、発症後14日目から21日目にかけて同様の傾向が認められた。mSOD1、W/Wの3群間には有意な差は認められなかった。以上からiNOSはmSOD1 Tg/W mouseの細胞変性に対して神経保護的に作用している可能性が示唆された。
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