研究概要 |
単純ヘルペス脳炎に類似しているが、ウイルス学的にHSV陰性、画像所見は両側大脳辺縁系に限局した非ヘルペス性急性辺縁系脳炎(ALE)の存在が判明してきた。Herpes simplex virus(HSV)1、2型、他のヘルペスウイルス群への髄液PCR,enzyme immunoassay(EIA)抗体検索に加え、tumor necrosis factor-α(TNF-α),interleukin-6(IL-6),IL1-β,INF-γ,IL-10などのサイトカイン解析を実施し、ウイルス・免疫学的動態、副腎ステロイドの有用性を明らかにする。ALE6例の急性期髄液でのサイトカイン(TNF-α、IL-Iβ、IL-6、IFN-γ、IL-10)を測定、ヘルペスウイルス群共通のPCR、各種ヘルペスウイルス群EIA IgG抗体を中心に検索し,対照には単純ヘルペス脳炎4例の急性期髄液と比較した。結果:各種サイトカイン中ALEでIL-6の軽度増加(平均:74.0pg/ml),ヘルペス脳炎では、221.3pg/ml,両群間の差がみられた。結論:ALEの定義は混乱がみられるが、サイトカインの変動からもヘルペス脳炎とは異にする病態と推論される。又、アンケート調査の結果を解析予定である。緩徐な進行を示す傍腫瘍性辺縁系脳炎との関連も検討を加える。
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