研究概要 |
単純ヘルペス脳炎に類似しているが、ウイルス学的にHSV陰性、画像所見は両側大脳辺縁系に限局した非ヘルペス性急性辺縁系脳炎(ALE)について検討を加えた。Herpes simplex virus(HSV)1、2型、他のヘルペスウイルス群への髄液PCR, enzyme immunoassay(EIA)抗体検索に加え、tumor necrosis factor-α(TNF-α),interleukin-6(IL-6),IL1一β,INF-γ,IL-10などのサイトカイン解析を実施し、ウイルス・免疫学的動態を明らかにする。ALE6例の急性期髄液でのサイトカイン(TNF-α、IL-Iβ、IL-6、IFN-γ、IL-10)を測定、ヘルペスウイルス群共通のPCR、各種ヘルペスウイルス群EIA IgG抗体を中心に検索し,対照には単純ヘルペス脳炎4例の急性期髄液と比較した。 結果:各種サイトカイン中ALEでIL-6の軽度増加(平均:74.0pg/ml),ヘルペス脳炎では、221.3pg/ml,両群間の差がみられた。結論:ALEの定義は混乱がみられるが、サイトカインの変動からもヘルペス脳炎とは異にする病態と推論される。又、1997〜1999年のアンケート調査の結果は側頭葉・大脳辺縁系を主体にしていたが、びまん性、脳幹脳炎などの病型が見い出された。
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