【1】HHH症候群の原因遺伝子ORNT1のエキソンイントロン構造を決定するために、コントロールゲノムを鋳型としORNT1 cDNA上の様々な配列のプライマーでlong PCRを行った。ORNT1は5つのイントロンに分断されており、すべてのエキソンイントロン接合部はGT/AG規則に従っていた。 【2】独立した家系の5名の患者の培養皮膚線維芽細胞より抽出したRNAよりRT-PCR、または白血球より抽出したゲノムDNAよりエキソンごとのPCRを行いORNT1のコード領域を増幅し塩基配列を決定した。2名の患者はそれぞれ遺伝子変異(G27E、insAAC)のホモ接合子であった。他の3名の患者はすべてR179Xのホモ接合子であり、この変異は日本人患者で高頻度(6/10 alleles=60%)であると考えられた。R179Xはエキソン4の中央部に位置するナンセンス変異であるが、このためと考えられるエキソンスキッピングが生じていた。 【3】アミノグリコシド系抗生物質によるナンセンス変異の読み飛ばし効果が知られているが、ナンセンス変異によって起こるエキソンスキッピングに対するアミノグリコシドの効果を調べた。R179Xを有する患者培養皮膚線維芽細胞の培養液にアミノグリコシドG-418を添加するとエキソン4のスキッピングが容量依存性に改善することがRT-PCRで示された。また^<14>C-オルニチン取込み実験を行うとORNT1産物の機能も改善していたことから、エキソンスキッピングの改善に加えR179Xの読み飛ばしも起こっていると考えられた。
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