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2000 年度 実績報告書

ミックス骨髄キメラを用いた骨髄由来移植心動脈硬化症進展制御因子の解明

研究課題

研究課題/領域番号 12670641
研究機関北海道大学

研究代表者

藤井 聡  北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (90291228)

研究分担者 岩渕 和也  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (20184898)
小野江 和則  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (40002117)
キーワード動脈硬化 / 単球 / マクロファージ / マウス / 骨髄移植 / 骨髄キメラ / 心臓移植 / 遺伝子
研究概要

動脈硬化は、高脂血状態で血液細胞と血管壁構成細胞間で誘導される炎症反応の結果形成される。新たな免疫系因子が動脈硬化発症・進展に深く関与していると考えられている。マウスに高脂肪食を負荷することで動脈硬化病巣を生じさせることができ、近交系マウスの系統によって,病巣が全く形成されない抵抗性系統と,はっきりと形成される感受性系統が存在することが報告され、遺伝学的解析により複数の修飾遺伝子の存在が予測されている。我々は骨髄キメラマウスを用いて動脈硬化進展修飾遺伝子の機能を明らかにすることを目的としている。著しい動脈硬化病巣を呈する28-29週齢アポE欠損マウス(apoE^<-/->)を致死量の放射線を照射してレシピエントとした。動脈硬化抵抗性SJLマウスまたは感受性B10.Sマウスより骨髄細胞を分離し、抗Thy1.2抗体と補体処理で成熟T細胞を除去したのち、レシピエント1匹当り1.5×10^7個と、レシピエントと同系のapoE^<-/->由来骨髄細胞0.5×10^7個を尾静脈から混合注入して混合骨髄キメラマウス([SJL+apoE^<-/->→apoE^<-/->],[B10.S+apoE^<-/->→apoE^<-/->])を作製した。これらのマウスを普通食で飼育し骨髄移植10週後に採取したキメラマウスの末梢血は、フローサイトメトリーで造血系細胞の置換を確認、酵素法で血清脂質値を測定した。血清アポE蛋白はwestern blottingで評価し,病巣は上行大動脈の連続切片を脂肪染色して面積を求め検定した。骨髄キメラマウスでは70-80%が異系ドナー由来の白血球に置換されていた。血清脂質は動脈硬化惹起性non HDLコレステロールが著しく低下し、動脈硬化感受性系統B10.Sで置換したキメラマウスの方が、抵抗性系統SJLで置換したキメラマウスにくらべて有意に低値を示した。血清アポEはわずかに両骨髄キメラマウス群で同程度発現し、動脈硬化病巣は著しく縮小した。動脈硬化の改善度は動脈硬化抵抗性系統SJLで置換したキメラマウスの方が著明であった。腹腔マクロファージ(Mφ)泡沫化実験ではSJL由来MφはB10.Sのものに較べてAc-LDLの取り込みが少なかった。病巣退縮の一部はドナーマウスの骨髄由来細胞に起因しMφ機能が病巣進展に大きく関与していることが示唆された。動脈硬化修飾遺伝子ath7は骨髄由来細胞の性質を規定していると考えられた。今後動脈硬化進展規定遺伝子の研究を進めていく予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Ishimori N: "Mixed allogeneic chimerism with wild-type strains ameliorates atherosclerosis in apolipoprotein E-deficient mice"Journal of Leukocyte Biology. (in press).

  • [文献書誌] Konishi J: "Thymic epithelial cells responsible for impaired generation of NK-T thymocytes in alymphoplasia mutant mice"Cell Immunol. 206. 26-35 (2000)

  • [文献書誌] Fujii H: "Attenuation of hypothermia-induced platelet activation and platelet adhesion to artificial surfaces in vitro by modification of hemoglobin to carry S-NO and polyethylene glycol"Thrombosis Research. 100. 519-528 (2000)

  • [文献書誌] Sugawara T: "Coronary capillary remodeling in non-insulin-dependent diabetic rats : amelioration by inhibition of angiotensin converting enzyme and its potential clinical implications."Hypertension Research. 24. 75-81 (2001)

  • [文献書誌] Ogawa T: "Effects of nonionic contrast media on platelet aggregation : assessment by particle counting with laser-light scattering"Japanese Heart Journal. 42. 115-124 (2001)

  • [文献書誌] Takeda K: "Critical role of Rho kinase and MEK/ERK pathways for angiotensin II-induced plasminogen activator inhibitor-1 gene expression."Arteriosclerosis Thrombosis and Vascular Biology. (in press).

  • [文献書誌] 北畠顕: "循環器疾患-高齢者虚血性心疾患および高齢者心不全:高齢者ハイリスク疾患のサブクリニカルステイトの診断と治療"診断と治療社、95-110頁. 149 (2000)

  • [文献書誌] 藤井聡: "動脈硬化と線溶系Atherothrombosis 31-33頁"メジカルセンス. 41 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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