この研究の目的は、日本人特発性心筋症症例におけるカルニチントランスポータ異常の頻度を求めることである。我々は非血縁関係の秋由県在住の日本人特発性心筋症5症例のカルニチン動態をインフォームド・コンセントを得て追加検索したが、カルニチンクリアランスは正常範囲内にあると判断した。最終的に、現在までに52例の対象のうち、検査対象として有効であった42例中(男31例、女11例、平均年齢58歳、年齢範囲13〜87)において、血中総カルニチン値の平均土SDは67.2±16.6μmol/L、血中遊離カルニチン値は56.3±14.5μmol/L、尿中遊離カルニチン値は90.3±150.4μmol/g Creatinineであった。結果的には、カルニチントランスポータ異常症は発見されていない。 このうち、一例に血中カルニチン値(総カルニチンと遊離カルニチン)の異常高値が認められたため、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI欠損症が疑われたが、インフォームド・コンセントを得て行った肝CPTI、筋CPTI遺伝子には明らかな異常を見いだしていない。
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