研究課題/領域番号 |
12670645
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
山口 清司 山形大学, 医学部, 講師 (30239892)
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研究分担者 |
吉村 哲彦 (財)山形県テクノポリス財団, 生物ラジカル研究所, 部長 (70271517)
佐田 誠 山形大学, 医学部, 助手 (00280892)
竹石 恭知 山形大学, 医学部, 講師 (40272067)
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キーワード | Fas / Fas ligand / apoptosis / cardiomyocyte / heart failure / doxorubinlin / FLIP / reactive oxygen species |
研究概要 |
Fas/Fas ligand(FasL)システムは多くの組織でアポトーシスを誘導し生体の恒常性の維持にあずかっている。同システムの破綻が免疫疾患などを惹起することが報告されている。心不全患者において血中可溶型FasLが上昇しており、その産生の一部は心臓内からであった(Yamaguchi S et al.Am J Cardiol 1999)。そこでFas/FasLシステムは心筋細胞アポトーシスを誘導し得るのか、誘導するとすればどういった状況かについて検討した。【方法と結果】ラット新生仔培養心筋細胞にヒトrecombinant FasLを添加したところ、FasL高用量でのみ心筋アポトーシスが観察された。アポトーシスを惹起しない低濃度のドキソルビシン(Dox)で前処置を行ない、その後FasLを添加したところ、FasL低用量から濃度依存性にアポトーシスが誘導された。またDoxとFasL両刺激によるcaspase-8活性は単独刺激に比し著増した。次に、このDoxによる易Fas感受性について検討を加えた。内因性の抗caspase-8因子であるFLIP(Nature 1997)の蛋白発現をwestern blottingで検討した。Doxの投与によりFLIPの発現は時間および濃度依存性に減弱した。SOD+CatalaseないしNACといった抗酸化剤によりDoxによるFLIPの蛋白発現の減弱は認められなくなった。同時にDox前投与によるFasLによる易アポトーシスは観察されなくなった。caspase-8の活性増加も抗酸化剤により認められなくなった。【総括】FasLにより心筋細胞アポトーシスが誘導され得るが、低濃度のDoxの前処置により心筋細胞のFas感受性は亢進した。このFas易感受性は、Doxにより生じた酸化ストレスが内因性の抗caspase8因子であるFLIPの発現を減弱するためと考えられた。
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