研究概要 |
レプチンノックアウト(ob)マウスと野性型(WT)マウスを比較し、更にobマウスにレプチン投与し、治療効果を解析した。WTC57/6Jマウス(n=12),obマウス(n=12)にencephalo-myocarditisウイルスを腹腔内投与(500pfu/マウス)し、生存率、臓器重量、ウイルス量、心筋内TNF-amRNAとNK細胞活性の程度を比較した。更に、obマウスにレプチンをウイルス投与と同時に10日間連日、腹腔内投与(1mg/マウス)し効果を検討した。WTの生存率はウイルス接種14日目で78%であったが、obマウスは20%と明らかに低下した(P<0.05)。感染4日目で、心、肺、胸腺重量に差はなかったが、脾重量はobマウスでWTマウスに比較し有意に低下(P<0.05)していた。心筋内ウイルス量は、ob群で有意に増加した(P<0.05)。ウイルス接種3,10日目で心筋内のtumor necrosis factor-a(TNF-a)mRNA発現はob群で有意に増加していた。ウイルス接種3日目のNK細胞活性はob群でWT群に比し低下していた(P<0.05)。レプチン投与でTNF-amRNAの抑制とNK細胞活性の上昇が認められた。(レプチン欠乏がウイルス感染を増悪させ、レプチン投与により感染を抑制した。レプチンはTNF-aを抑制し、NK細胞活性を賦活化させることにより感染防御に作用することが明らかとなった。 STAT3を介して心筋細胞の肥大、増殖、分化に関与し、心筋を保護することを検証する目的で、STAT3遺伝子が心臓に挿入されたマウスを用いた。心筋内炎症性サイトカインとiNOS遺伝子発現,脾臓のNatural Killer Cell活性を測定を経時的に測定する。心筋内ウイルス活性、心筋内インターフェロンg誘導,TNF-a, Interleukin-1,Interleukin-6と心筋障害マーカーANPとBNP遺伝子を、ノーザンブロット法にて、遺伝子レベルでの抑制程度を確認した。STAT3遺伝子の有無での有為な変化は認めなかった。 急性心筋梗塞でのレプチン変化は、梗塞サイズの大きいほどレプチン濃度が変化していなかった。梗塞心筋におけるレプチンは保護的作用を示すことが判明した。
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