研究課題/領域番号 |
12670650
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大野 実 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (00185349)
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研究分担者 |
石坂 信和 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (20270879)
塚本 和久 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (20251233)
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キーワード | ヘムオキシゲナーゼ / 心筋 / 酸化ストレス / 鉄 / 遺伝子治療 / 炎症 / 移植 / 再灌流 |
研究概要 |
心筋系の酸化ストレスの抑制因子としてはsuperoxide dismutase(SOD),gultathion reductase等はよく知られているが、heme oxygenase 1に関してはあまり知られない。この酵素は酸化ストレスもしくは過剰な遊離heme(hemin)等により多くの細胞において誘導されることが明らかになっている。またhemeを分解してCO(一酸化酸素)を生成する。このCOはcGMPを上昇させNOと同様、血圧降下作用、血管拡張作用を有すると考えられている。heme oxygenaseの機能として注目すべきは抗酸化系への重要な役割である。heme oxygenaseは抗酸化物質であるbirilubinを生成させるとともに、細胞内Feイオンのchelateであるferritinの誘導を強力に促進しfree radicalの生成を阻害することが近年報告されている。さらにこの酵素が心移植モデルにおける拒絶反応や、胸膜炎症モデルにおいても炎症細胞を押さえる働きがあることが明らかになっている 今回我々は心筋虚血再灌流モデルにおけるHO-1遺伝子の誘導、導入によるその役割の解明に努めた。我々はin vivo実験としてHO-1の酵素の拮抗薬であるTTPの使用によりラット心筋梗塞モデルにおいてその障害が増加している。すなわち内因性のHO-1が虚血時の心筋障害に保護的に働いていることを確認している。またheminの前投与による心筋でのheme oxygenaselの誘導で心筋梗塞の程度の減少が見られ、これがTTPの投与により拮抗することよりheme oxygenaseが虚血時の心筋保護に大きな役割をもっていることが明らかになった。 今後adeno-virusを使用した実験や、培養心筋の実験でその役割をさらに明らかにしてゆく予定である。
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