自己免疫性心筋炎の発症および治癒の過程で、Th1サイトカインとTh2サイトカインのバランスが重要であるが、Th2サイトカインへの移行に関し、ケモカインであるMCP-1の役割が言われており、MCP-1の動態について検討した。ラットを心筋ミオシンで免疫し、自己免疫性心筋炎を作成した。心筋局所でのMCP-1の発現をみるために、心臓を免疫組織学的に検討し、更にmRNAを抽出して、MCP-1の発現をreal-time RT-PCRにより検索した。また血中のMCP-1に関しても、ELISAで検討した。MCP-1は2-3週目に組織中に増加しており以後減少していった。これは血中でも、同様な動態を示し、血中濃度が、ターゲットの組織中での動態に一致していることが示された。このモデルの心筋炎は3週目を極期として治癒過程に移行するが、その時期にMCP-1が関与していることが示された。更にヒトの心筋炎で、MCP-1がどのように変化しているかを検討するために、血液中のMCP-1の濃度を経過を通して、測定したところ、同様に極期を境に変化していた。MCP-1の血中濃度を調べることにより、病変局所の動態に一致した有意義なマーカーになる可能性がある。現在は、サイトカインやサイトカインの抑制物質をインサートしたplasmidを作成し、これをラット心筋炎モデルにin vivo electroporationによって遺伝子導入し、その物質が、心筋炎に対してどのように作用するかを検討中である。
|