研究概要 |
血小板膜蛋白GP Ibα鎖とvon Willbrand因子(以下vWF)との反応は一次止血のトリガーとなることが知られており、冠動脈狭窄部位での初期血栓形成においてはGP IbとVWFとの相互作用を三次元構造を保持した新たなアッセイ法で解明した.GPIbα鎖のN末端フラグメントtagを付けたmutantGP Ibα鎖を固層化してもちいた。Mutantはアラニンスキャニングにより全VWF結合領域を網羅した。平成12年度にすべてのmutagenesisを完了し、翌年度にかけて評価した結果、128,172,175,217,218:ristocetin、botrocetin双方をモジュレーターとしたときのVWF bindingが特異的に低下した。これらの残基は実際にGPIbに結合しVWF bindingを阻害する各種モノクローナル抗体のエピトープになっており、6Dl(ristocetin、botrocetin双方をモジュレーターとしたときのVWF bindingを抑制する):125、HPL7(VWF bindingに全く影響を与えない):121であった。我々はオーストラリアの著明なGPIb研究者Michael Berndt博士が所有するGpIbのVWF結合ドメインの結晶構造モデルを用いてVWF結合部位の候補となる残基と抗体のエピトープの空間座標解析を共同で行うことにした。このモデルによると128,172,175の相互関係は非常に近接しており協調してVWF biding siteを形成する可能性が示唆された。一方、6D1は125に結合することによって近接した位置にある128におけるVWF bindingを阻害するであろうこと、これに対してHPL7はエピトープである121がbinding siteと空間的に遠く離れているため影響を与えないのだろうと考えられた。
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