本研究では心筋興奮収縮連関の分子機構さらにリアノジンレセプターの構造機能連関について検討を行うことを目的とした。 ディフィドロピリジンレセプターとリアノジンレセプターとの介在物質と考えられるソルシンのノックアウトマウスを作成した。マウスゲノミックライブラリーをスクリーニングすることによってマウスソルシン遺伝子の単離を行った。ATGを含む第2エキソンの両側にflox配列を挿入したコンストラクトをES細胞に導入し相同組換え体を得た。この組換えES細胞をマウス子宮に移植しキメラマウスを得た。さらにキメラマウスをC57BL6と交配しgerminal transmission体を得た。 リアノジンレセプターの第一エキソンにflox配列配列を挿入したマウスとミオシン軽鎖プロモーターの下流にCre recombinaseをノックインしたマウスを交配しヘテロタイプの心筋特異的ノックアウトマウスを得た。このマウスでは心筋リアノジンレセプターの発現は50%低下していた。しかし心エコー法で評価した心機能、心サイズとも有意な変化を認めなかった。さらに心機能を評価するため観血的にカテーテル法により左室内圧を測定したところ収縮期左室圧、拡張期圧とも有意差がなくまたdP/dt、-dP/dtとも有意差を求めなかった。他のカルシウムシグナリング蛋白質の発現を検討したがホスホランバン、CaATPase、カルセクエストリンの発現は特に変化を認めなかった。
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