研究概要 |
HO-1がLDLレセプターノックアウトマウスにおける動脈硬化形成に与える影響を明らかにした(Circulation Research:2001,in press)。LDLレセプターノックアウトマウスに高脂肪食を負荷し動脈硬化巣を形成させた。この間、HO-1の誘導剤としてhemin(H群),hemin+desferrioxamine(HD群)、阻害剤としてSn-protoporphyrin IX(S群)を投与し、コントール群(C群)には生食を投与した。HO-1の発現が動脈硬化巣における血管内皮細胞、マクロファージ、血管平滑筋細胞に認めれられた。これに対し、正常血管にはHO-1の発現は全く認められなかった。高コレステロール食負荷後に形成された動脈硬化巣においてHO阻害群ではHO誘導群に比較し有意に大きな動脈硬化巣が形成された。HO-1の阻害により血中脂質過酸化の促進が観察された。これらの結果は実際にHO-1が内因的な抗動脈硬化因子として働いている可能性をin vivoで初めて示唆したものである。現在、HO-1の抗動脈硬化作用の分子機序の解析、HOおよびLDL-レセプターダブルノックアウトマウスの動脈硬化への影響の解析を進めている。現在までの研究成果についてはHOと動脈硬化というテーマで欧州心臓病会議や国際ポルフィリンシンポジウムにて公表し後者の内容に関しては総説がPorphyrins誌に掲載の予定である。
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