研究概要 |
心エコー図を用いた心臓・冠動脈リモデリングの病態解明と遺伝子治療による進展阻止のテーマに対して、我々は2年間に以下の研究に取り組んだ。心エコー図が、イヌなんどの中型動物においては、ヒトと同様に用いることは用意である。しかし、ラット、マウスなどの動物においては、その動物の小ささゆえに、エコーで確実に評価することに我々は努力して、形態学的変化、機能が確実にとれるようになった。次に、心筋コントラスト剤により心筋潅流が評価できるように、実験を進め、まずはイヌで心筋コントラストがとれるようになり、その応用にて臨床の場においても、心筋潅流が評価できるようになった。また、実験の応用を考えてラットにいても、心筋潅流が心筋コントラスト剤により、可能となった。心臓・冠動脈リモデリングの病態解明には、心臓・冠動脈リモデリングの細胞内情報伝達系を解析することが、重要である。2年間の研究で、リモデリング過程進展の細胞内情報伝達系として、MAP kinaseのERK(extracellular signal-regulated kinase), JNK(c-jun NH2-terminal kinase), p38, AP-1, 及びJAK-STAT系のJAK2, STAT3が心筋梗塞部位、非梗塞部位にて亢進していることを確認した。一方、遺伝子治療により心臓・冠動脈リモデリングの進展阻止を計画しており、そのためには、ベクターを確実に利用することが、必然であった。これに関しては、心筋細胞、間質細胞。血管内皮にアデノビールスをベクターに用いることにより、遺伝子導入が可能となった。心臓・冠動脈リモデリングの予防が心血管病変を防ぐこととなる。そのためには、遺伝子治療が、将来極めて重要な地位を占めることは確実である。
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