研究概要 |
エンドセリンは1988年、柳沢・眞崎らにより血管内皮由来の強力かつ持続的な血管収縮ペプチドとして同定された(M. Yanagisawa, et al. Nature 332:411-415,1988)。またECEについては、いくつかの研究施設においてそのcDNAがクローニングされた(M. Takahashi et al. J Biol Chem 268:21394-21398,1993; K. Shimada, et al. J Biol Chem 269:18274-18278,1994; D. Xu, et al. Cell 78:473-485, 1994; M. Schmidt, et al. FEBS Lett 356:238-243,1994他)。私共のグループを含めて、ある種の高血圧、冠動脈硬化、心不全にエンドセリンがその病態に関与していることが明らかになっている(K. Yokokawa, M. Kohno, et al. Ann lntern Med 123:35-37,1995; M. Kohno, et al. Am J Med 88:614-618.1990; M. Kohno, et al. Circulation 98:353-359,1998; S. Sasaki, et al. Circulation 93:1214-1222,1996)。またエンドセリンは血管内皮細胞ばかりでなく平滑筋細胞、心筋細胞などいくつかの細胞でも産生が認められる。またplatelet-derived growth factor (PDGF)やangiotensinII (AngII)は、その産生を促進することが認められている。さらに進行した動脈硬化病変では血管内皮ばかりではなく、平滑筋細胞においても著しくET-1産生が亢進することが認められている。Nitric oxide合成阻害により作成された重症高血圧モデルでは血中エンドセリンが増加し、また抗動脈硬化作用を有するとされるスタチンやEicosapentaenoic acid (EPA)はAngiotensinIIなどによるエンドセリン合成を抑制することを明らかにした。
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