研究課題/領域番号 |
12670687
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
三室 淳 自治医科大学, 医学部, 講師 (10221607)
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研究分担者 |
村松 慎一 自治医科大学, 医学部, 助手 (10239543)
坂田 洋一 自治医科大学, 医学部, 助教授 (40129028)
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キーワード | AAV vector / PAI-1 / Thrombomodulin / Thrombosis / Endothelial cell / Gene therapy |
研究概要 |
本年度はヒト由来の発現誘導可能で血管内皮細胞特異的なPAI-1プロモーターを改変し、発現活性を20倍以上に高めたCEPプロモーターを作成することに成功した。さらに血栓形成阻害を目的としCEPプロモーターとそれにより発現誘導される抗血栓性因子thrombomodulin遺伝子さらにはGFPマーカー遺伝子を組み込んだrecombinant AAV-(rAAV)vectorを作成し、in vitroとin vivoにおいて血管内皮細胞へ遺伝子導入した。CEPプロモーターにより発現誘導されるthrombomodulinは血管内皮細胞に発現し、内在性thrombomodulinの発現量の約600倍にも上昇させることが出来た。また、TGFβ1添加により発現が誘導され、さらに1.6倍ほど(内在性thrombomodulinの1000倍)に上昇した。rAAV vectorをMongolian gerbil(砂ネズミ)の内頸動脈から注入し脳血管におけるヒトthrombomodulinの発現を免疫組織化学法で検討したところ脳内の血管内皮細胞でヒトthrombomodulinの発現が認められた。急性期や虚血状態ではTNFαやTGFβ1を介し生体のthrombomodulin発現は抑制され血栓形成傾向となるが、我々が開発したrAAVベクターをもちいて血管内皮細胞にthrombomodulin遺伝子を導入するとCEPプロモーターはこのような状況では逆に転写活性が上昇し、CEPプロモーターにより転写調節されるthrombomodulin transgene、発現が増強し血栓形成を防ぐと考えられる。この成果は血栓形成阻害により血管閉塞を防ぎ血管病の遺伝子治療への展開を期待できると思われる。
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