研究課題/領域番号 |
12670691
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐藤 徹 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20170764)
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研究分担者 |
家田 真樹 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70296557)
杵淵 修 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50296563)
岡田 泰正 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80160688)
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キーワード | 肺血栓塞栓症 / 鉗子 / 血管内視鏡 |
研究概要 |
胆道観察用の内視鏡にラテックス製の風船状バルーンと空気送気用にポリウレタン製の細径チューブを接続することにより、中型実験犬を対象とした肺動脈血管内視鏡を製作した。この血管内視鏡は先端のバルーンを拡張して血流を遮断し生理食塩水を先端よりフラッシュすることにより、血液を除去して肺動脈内を観察するものである。9頭の実験犬で使用した。内視鏡を誘導するための透視装置が使用できなかったため、静脈麻酔・人工呼吸下に開胸し用手的に血管内視鏡を肺動脈内に誘導した。6頭で肺動脈の観察に成功した。2頭では内視鏡が右心室を通過中の心室細動、1頭は手術手技に伴う出血により死亡した。実際の臨床でも注意を要する合併症と考えられた。肺動脈内の血流が減少すると内視鏡が肺動脈に接着し、内腔の観察が難しかった。臨床応用した時、ショック状態では観察が難しい可能性が示唆された。更にあらかじめ採血して保存した血液を凝固させて血栓を作成し肺動脈内に注入した。血栓の注入により当然のことながら実験犬の全身状態は悪化を来たし、早期に実験を施行することが必要であった。当初、生検鉗子を使用して血栓の捕捉を試みたが、血栓が切断されることから断念し、バスケット鉗子を使用して比較的大きい血栓の捕捉に成功した。内視鏡の視野の中心軸と鉗子を通すワーキングチャンネルが同軸でないこと、バスケット鉗子の血栓を捉える位置が鉗子の根元となるため、血栓の捕獲には血管外での模擬血栓捕捉練習が必要であった。今後、実際の臨床状況に近似した状態での実験を行い、血行動態の観察も同時に行って臨床応用を目指したい。
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