研究概要 |
本申請者らは、平成12年度および13年度の研究で、生後3,6,9,12,15,18,21,24月齢の自然発症心不全ラット(SHHF/Mcc cpラット)を用い、心肥大期に左室心筋細胞の断面積の増加が見られるのに対し不全期には細胞収縮能の低下とともに心筋細胞長の極端な増加が見られることを示した。さらにMatrix metalloproteinase (MMP)阻害薬を投与した場合、早期投与群でのみ、心筋細胞の収縮能の低下と細胞長の延長の減少が見られた。本年度の研究では心不全発症におけるMMPの果たす役割をより明確にする目的で、心筋細胞レベルでMMP mRNAの定量的評価について検討した。 1.実験モデル 自然発症心不全ラット(SHHF/Mcc cpラット)を用い、コントロール群、MMP阻害薬早期投与群、中期投与群、阻害薬晩期投与群の4群に分けた。MMP阻害薬は、早期治療群は6月齢(肥大心発生前期)より、中期投与群は12月齢(肥大心発生期)、晩期治療群は22月齢(心不全発生前期)より投与した。4群とも24月齢で以下の実験に供した。 2.単離心筋細胞の作製 ラット心を摘出後collagenaseを含むJoklik's mediaで灌流した。左心室筋を切離した後、単離心筋細胞を作製し、Northern blotting法によりMMP mRNAを定量的に評価した。 結果 MMP阻害薬早期投与群でのみコントロール群でMMPの発現が減少した。これらの結果から、MMP mRNAが心不全発症に早期より関与している可能性が考えられた。
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