研究課題/領域番号 |
12670696
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
望月 正武 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20130205)
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研究分担者 |
池脇 克則 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40287199)
関 晋吾 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70179323)
谷口 郁夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (50179834)
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キーワード | エストロジェン / 卵巣除去ラット / 心肥大 / 腎性高血圧 / 心筋線維化 / エストラジオール |
研究概要 |
(目的) 前年度までの検討で摘出灌流心モデルを用いてエストロジェンの直接的な心筋保護作用を確認した。また雌性卵巣除去ラットを作製し摘出灌流心モデルを用いエストロジェン機能低下による心筋虚血障害の増悪を確認した。今年度は同モデルを用いて圧負荷肥大心モデルを作成し、in vivoでの心筋障害発生にエストロジェンがどのような影響を及ぼすか検討した。 (方法) 雌性Wistarラット(生後5週)の卵巣を摘出しエストロジェン機能低下ラットを作製。2週後に同ラット(OVG)および卵巣非摘出ラット(RHT)の左腎動脈を0.4mmクリップで狭窄し腎高血圧性肥大心を作成し心肥大の程度を検討した。また卵巣除去ラットに17βエストラジオールペレットを皮下に植え込み、エストロジェン再負荷ラット(OVE)を作成しエストロジェンの心筋障害軽減作用を検討した。 (結果) 収縮期血圧はOVPラットで211±11、OVEラットで210±6と差異は認めなかった。拡張期血圧はOVPラットで179±12、OVEラットで164±6と有意な改善が認められた。心重量/体重比は、OVPラットで3.69±0.11、OVEラットで3.73±0.19と有意な差は認めなかった。一方で組織学的な検討によりRHTラットおよびOVPラットで血管周囲を中心とした広範囲な心筋線維化が認められた。OEGラットでは心筋線維化の亢進は認められるものの、血管周囲の心筋線維化の進行は抑制された。また冠血管平滑筋肥厚の進行も抑制傾向にあった。 (考察) 高血圧負荷による心筋障害の進展において卵巣除去-エストロジェン低下による大きな影響は認められなかった。しかしエストロジェン再負荷による心筋障害の軽減作用、すなわち拡張期圧の低下、心筋線維化の促進抑制作用が認められた。これはエストロジェンによるNO産生亢進とくに内皮系細胞でのeNOSを介した血管拡張作用によることが推測された。
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