本年度の研究実績は、以下の2つに分かれる。 1.Fas刺激後のラット培養心筋細胞におけるアポトーシス全プロセスの超微形態の解析 連続ビデオ顕微鏡下の観察におけるFas刺激後の成人培養ラット心筋細胞のアポトーシスの初期変化は長方形の正常心筋細胞の両端に棍棒状または骨状の変化が生じることである。このような心筋細胞の超微形態は特徴的核クロマチンの凝集、軽度の細胞質のschrinkage、棍棒状または骨状に変化した両端部分のmyofibrilのderangementとZ帯の消失である。次に、長方形の成人心筋細胞は、円形となる、この時の超微形態の特徴は高度の核のクロマチンの凝集、fragmented nuclei、高度の細胞のschrinkage、細胞全体のmyofibrilのderangementである。細胞膜はスムーズであるが、さらに、buddingやapoptotic bodyを形成する。成人ラット心筋細胞アポトーシスの特徴は、ミトコンドリアにwrinkled bodiesが形成されることであり、他の細胞のアポトーシスでみられる半月状または三ヶ月状の核クロマチンの凝集は観察されなかった。 2、Fas刺激アポトーシスとカスペース阻害剤、CaブロッカーおよびBブロッカーとの関連に関する検討 Fas刺激アポトーシスが、カスペース3を活性化しかつカスペース阻害剤z VAD finkによりブロックされたことは、Fas刺激アポトーシスがカスペース3を介して生じることを示している。また、Fas刺激アポトーシスがCaブロッカーニフェジピンによりブロックされたことは、Fas刺激アポトーシスのsignal transductionの終路にCaが関与することを示している。一方、βブロッカープロプラノロールではブロックされなかったので、β-刺激とはindependentである。
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