研究課題/領域番号 |
12670713
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
安部 治彦 産業医科大学, 医学部, 講師 (70231967)
|
研究分担者 |
合志 清隆 産業医科大学, 医学部, 助手 (90195660)
長友 敏寿 産業医科大学, 医学部, 講師 (50258604)
|
キーワード | 神経調節性失神 / head-up tilt試験 / Tilt training / ホルター心電図 / 心拍変動解析 / 失神 |
研究概要 |
研究の背景:Head-up tilt試験で誘発される神経調節性失神の非薬物治療として、患者自身が自宅で施行できるtilt trainingの有用性が最近報告されている。しかしながら、このtilt trainingが有効である機序やtilt trainingの失神予防に必要な毎日のトレーニング回数等に関する研究はなされていない。研究の目的:本研究の目的は、tilt trainingによる神経調節性失神予防のためのtilt trainingの必要量を決定し、その予防機序を検討することである。対象および方法:失神を主訴に来院しhead-up tilt試験(80度、30分)で神経調節性失神と診断された24名(男12名、女12名;平均年令34+/-20歳)を対象とした。ホルター心電図装着後、control head-up tilt試験での平均失神発生時間はtilt開始後16+/-10分であつた。失神のタイプは心抑制型4名、血管抑制型7名、混合型13名であった。また、2名で失神の誘発にisoproterenolの持続点滴を要した。全例に一日2回のtilt training(orthostatic training)を自宅で施行し日記を記録していただいた。結果:平均3週間後に施行したhead-up tilt試験では24名中22名に失神の誘発を認めなくなった。2名で失神が誘発されたが、失神発生時間はcontrol tiltに比し著明に延長していた。日記による自宅でのトレーニングでは、開始直後は平均8分の起立時間であつたが徐々に延長し平均11日目には30分間の起立が可能となつた。24名中12名にtilt trainingを毎日1回、残り12名にtilt trainingを毎日2回施行し失神の再発の有無をfollow中であるが、いずれも失神の再発は現在までみとめていない。結論:神経調節性失神の治療にtilt trainingは非常に有効かつ安全な治療法である。一日1回自宅での30分間のtrainingで失神の予防は可能である。予防機序はホルター心電図によるtilt中の心拍変動解析で検討中である。
|