研究課題/領域番号 |
12670716
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
杉町 勝 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室長 (40250261)
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研究分担者 |
砂川 賢二 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 部長 (50163043)
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キーワード | 容量負荷 / 圧負荷 / 有限要素法 / ラプラスの法則 / 心筋歪み / 心筋応力 / 実時間負荷 / 異方性 |
研究概要 |
本年度は生体内の心室負荷を心筋の負荷に変換する枠組みを構築した。麻酔イヌから得られた心室圧(カテ先血圧計)・心室容積(コンダクタンスカテーテル)の経時的変化および時変エラスタンス-3要素ウィンドケッセルによるモデルから得られた心室圧・心室容積の経時的変化から、ラプラスの法則および有限要素法を用いて、心筋歪みおよび心筋応力を求めた。有限要素法は非線形均質等方性の材料特性を用い、中空球の形状で解析した。有限要素法による解析は市販プログラムと自ら開発したプログラムを組みあわせて行った。ラプラスの法則で求められる心室壁中層の歪み・応力は心筋片から得られる実測値に類似していた。有限要素法では、心内膜側と心外膜側おのおのの心筋歪み・応力を求められるが、心内膜側の歪みおよび応力は実測値に比して極端に大きかった。したがって球以外のより現実的な形状や異方性の導入が必要であることが明らかになった。またモデル上で、容量負荷の代表として大動脈弁逆流、圧負荷の代表として大動脈弁狭窄を模擬し、心筋中層の歪み・応力を求めた。大動脈弁逆流では拡張期に心筋の伸展がより顕著であること、大動脈弁狭窄では駆出期の心筋の短縮が阻害され応力が極端に大きくなることが明らかになった。これらの検討の結果、高速コンピュータを用いれば、容量負荷・圧負荷の程度に応じて摘出心筋片に負荷すべき歪み(心筋長の相対変化)の大きさを定量的に実時間で計算可能であることが明らかになった。次年度は改良した有限要素法においても実時間での計算が可能か検討する必要がある。また本年度は、高速コンピュータからの制御信号によってオフラインで心筋に機械的刺激を与えるためのプログラムおよび制御回路を自作した。
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