研究概要 |
1.Respiratory syncytial virus(RSV)感染による細気管支炎患者の末梢血単核球をカルシウムイオノフォアとホルボール酸によって刺激後、フローサイトメトリーを用いたT細胞内サイトカイン検出法によってT細胞が産生するサイトカインを解析した。その結果、RSV感染時には、特にγδT細胞からのIFN-γ産生が著明に抑制されていることが明らかとなった。 2.アレルギー疾患患者から樹立したRSV特異的T細胞株のインターロイキン4(IL-4)/IFN-γ比は非アトピー健康人からの T細胞株に比べて有意に高値を示した。さらにRSV感染への防御に重要なFおよびG蛋白に対するRSV特異的T細胞株のサイトカイン産生の解析から、Th2側への偏椅にRSV G蛋白が強く関与することが明らかとなった。以上から、RSVは抗原としてもアレルゲンと同様にTh2タイプの応答を誘導すると考えられる。 3.RSVのG蛋白のアミノ酸組成に基づいて、作成した95個のオーバーラッピングペプチドを刺激による末梢血単核球中のIFN-γ産生細胞数をELISPOTにて測定することにより、CD4陽性T細胞が認識するエピトープを同定した。特にアミノ酸残基161-175がHLA-DRB1^*0405拘束性エピトープを含むことを明らかとした。 4.HLA-A0201に対する親和力が強いと予想されるbinding motifを有する部位をコンピュータープログラムによって検索し,9merペプチドを作成した。本ペプチド刺激によるIFN-γ産生細胞数を指標としてHLA AA0201拘束性のCD8陽性T細胞エピトープを明らかにした。
|