薬剤耐性白血病細胞株(KY-Ra)に強発現する遺伝子(cDNA)を元に、Rapid Amplication of cDNA Ends(RACE)法を用い約5千塩基からなる全遺伝子配列を決定した。また同時に357塩基のcoding regionの塩基配列も決定した。同遺伝子の機能および薬剤耐性との関連を検討する目的で、RT-PCR法を用い正常血液細胞、白血病細胞および白血病細胞株での同遺伝子の発現量を測定した。正常血液細胞、白血病細胞、白血病細胞株の順で発現量の増加が認められ、同遺伝子と細胞増殖および不死化等との関与が示唆された。次に同遺伝子を発現ベクター(p3XFLAG-CMV^<TM>-10)に組み込み、他細胞株(C293)に導入後の性状変化を検討した。同遺伝子導入後、各種抗癌剤に対して耐性獲得が認められた。この耐性は作用機序の異なる薬剤に交差耐性をしめしており、アポトーシス誘導過程の共通経路への同遺伝子の関与が示唆された。現在血液細胞に導入を試みており、他種細胞でも同様の性状変化をもたらすか、またFas関連経路等の他のアポトーシス誘導経路への関与の有無に関して検討した。 さらに、同遺伝子の機能解明も為、蛋白発現ベクター(pGEX-6P-3)に同遺伝子を組み込み、大腸菌で発現させ蛋白質の精製をおこなった。その蛋白質は不溶性の性状であることが判明し、可溶化、精製さらに抗体作成を行った。
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