分化させた3T3-L1脂肪細胞の培養液中にlipopolysaccharide(LPS)、tumor necrosis factor-α(TNF-α)、interferon-γを組み合わせて添加するとiNOSが誘導されて、NOの産生が高まった。troglitazoneを予め添加すると、LPS-サイトカイン刺激によるiNOSの発現とNO産生を抑制した。インスリン非依存型糖尿病モデルOLETF肥満ラットと対照であるLETOラットをtroglitazoneと非含有飼料で10日間飼育し、LPSを腹腔内注射すると、OLETFでLETOよりNO産生が高く、脂肪組織のiNOSが誘導されていた。troglitazone含有飼料で飼育すると培養脂肪細胞におけると同様の抑制効果が認められた。以上の結果から、脂肪組織自体が酸化的ストレスの原因となるiNOS産生能を有し、抗酸化剤がその機能を抑制することが明らかになった。肥満ラットでは腎における細胞内グルタチオン・ペルオキシダーゼ(C-GPX)および細胞外GPX(EC-GPX)産生が増加していたが、脂肪組織では両酵素がの発現は低下していた。troglitazoneも両酵素の発現を抑制した。肥満ラットでは酸化的ストレスの指標である血清中protein carbonyl group(PCG)が増加しており、TNF-αも増加していた。troglitazoneはこれを抑制した。単純性肥満児でも肥満ラットと同様に血中PCGは増加しており、酸化的ストレスが亢進していることが示された。EC-GPXは肥満における酸化的ストレスの軽減には作用していないと思われる成績であった。
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