研究課題/領域番号 |
12670736
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
上條 岳彦 信州大学, 医学部・小児科, 助手 (90262708)
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研究分担者 |
小池 健一 信州大学, 医学部・小児科, 助教授 (40143979)
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キーワード | ARF / p53 / アポトーシス / ミトコンドリア / Bcl-2 / Bax / 綱羅的スクリーニング / DNAチップ |
研究概要 |
本年度我々はARFによって誘導されるアポトーシスの分子機構を主に解析して下記の事柄を新たに見いだした。代表的な不死化細胞であるARF/p16-null細胞にレトロウイルスを用いてARFを遺伝子導入し、血清除去したところアポトーシスが誘導された。このARF依存性アポトーシスはミトコンドリアから細胞質へのチトクロームCの放出、ミトコンドリア膜電位の低下(rhodamine 123およびDiOC6(3)にて検出)を伴い、ミトコンドリア依存性アポトーシスであることが確認された。この際Bax/Bcl-2比の上昇が認められ、Bcl-2導入によってアポトーシスが抑制されたことからこのBax/Bcl-2比の上昇がARF依存性アポトーシスの一因と考えられた。ARF依存性アポトーシスはカスペース阻害剤のz-VAD-fmkで阻害され、caspase9の活性化を伴う点もミトコンドリア依存性であることと一致する。またARFと同時に変異体p53を導入すると、アポトーシスの阻害およびBcl-2蛋白量の復帰が認められたが、Baxの発現量には影響しなかった。ARFによって引き起こされるBcl-2の減少はp53依存性であることが示された。ARF依存性アポトーシスがp53にのみ依存しているかを確認するために、ARF発現プラスミドを293T細胞(SV40T抗原によってp53もRbも不活化されている)に導入したところ、やはりsubdiploid細胞の増加、DNAラダーの形成が見られ、アポトーシスが誘導された。この際p53およびp53下流遺伝子群のp21Cip1およびMDM2は誘導されなかったことからARFはp53非依存性にアポトーシスを誘導することが確認された。またミトコンドリア膜電位の低下を伴っていたことからARF依存性/p53非依存性アポトーシスはミトコンドリアを介して作用していることが推測された。現在このp53非依存性アポトーシスの分子機構を解明するためDNAチップを用いた下流分子の網羅的スクリーニングを行っている。
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