研究概要 |
抗体欠乏をきたす分類不能型免疫不全症は、原発性免疫不全症の中で最も多く、主要な位置を占めている。今年度はその病因・病態を解明し、臨床的に有用な診断法や治療法の開発を進めた。 末梢血B細胞は、IgDとCD27分子の発現によって3分画に分かれることを証明しており、この方法によってB細胞分画を解析することは病態解析においてきわめて有用である。われわれもHIV患者においてなぜ免疫グロブリン値が高いかについて、IgDとCD27分子の発現によって解明している(長瀬,上松:Clin.Immunol.100:,2001)。また、われわれが確立したこの方法は世界的に普及しさまざまな疾患で使用されている。さらに、ナイーブB細胞の解析結果も今回報告できた(南雲.上松:Blood 15:567,2002)。分類不能型免疫不全症は病因不明であるが、全国から収集した分類不能型免疫不全症患者24例において、フローサイトメーター法を用いてB細胞サブセットを解析した。CD27分子を中心に多角的な解析を行ったところ、IgD-CD27+メモリーB細胞が全例で欠損していることを見いだした(上松:Clinical Immunology in press)。このことは、分類不能型免疫不全症患者がなぜB細胞があるにかかわらず免疫グロブリンを作らないのか、病因解明の有力な糸口になるものと思われる。
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