研究概要 |
【研究目的】アレルギー疾患成立機序解明を目的に、抗原特異的T細胞株(TCL)およびT細胞クローン(TCC)を樹立、抗原提示分子と抗原peptideが形成するHLA-peptide complexと、これを認識するT細胞レセプター(TCR)の解析を行った。 【方法】牛乳アレルギー患者20例を対象とし、5例より6つのBLG特異的TCCを樹立した。BLGアミノ酸配列に従い22個のoverlapping peptideを合成し抗原として用いた。患者から採取した末梢血単核球(PBMC)をBLG抗原と共培養してBLG特異的TCLを樹立、限界稀釈法を行いBLG特異的TCCを樹立した。TCCが認識するpeptide断片を同定、N末端およびC末端から短く切断したtruncated peptideを合成しT cell epitopeを同定した。抗HLAmAbおよびallo PBMCを用いて抗原提示分子を同定した。TCCよりRNAを抽出してc-DNAを合成し、TCRα鎖およびβ鎖のspecific primerを用いてRT-PCRを行いTCR usage(Vα,Vβ,Jα,Jβ)を決定した。 【結果】5例の患者から6個のBLG特異的TCCを樹立した。4例はHLA dassII DRB1^*0405を有し、DRB1^*0405は4 cloneで抗原提示分子として機能していた。TCCが認識するペプチド断片はp30-47、p97-117、p142-162の何れかであり、p97-117は4 cloneに認識されていた。p101-112(KYLLFCMENSAE)がT cell epitopeと決定された。TCR usageには一定の傾向は認められなかったが、HLA-peptide complexと結合するCDR3α(complementarity determining region3)には特徴的なアミノ酸配列がみられた。'NKL"QKV'といった正に荷電したアミノ酸(K)を中心にアミド基をもったもの(N,Q)、疎水基(L,V)で構成され、N末端に'G'が豊富に存在していた。
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