研究概要 |
本研究では先天異常における環境因子の作用機序についての知見を得るための新規の方法論を開発している。 本年度行ったことは、1)培養細胞を用いて強制発現した遺伝子により調節を受ける遺伝子をgene trap法でスクリーニングし、候補遺伝子をin vivoで発現レベルをwhole mount in situで確認し、2)脊椎の奇形を起こす疾患についてその原因遺伝子の検索を行った。 1)培養細胞としてはES細胞とATDC5という軟骨前駆細胞の細胞株を用い、これにPax9を強制発現させた時の発現量の変化する遺伝子としてSiena, Pumilio遺伝子を見い出したので、このPax1/9による調節をみるために、両遺伝子のダブルノックアウトマウスにおける発現パターンを胎児を用いて解析した。哺乳類における両遺伝子の正常な発現パターンを初めて確認し、ノックアウトマウスと比較した。 2)Jarcho-Levin syndromeと臨床診断を受けた患者2名において原因遺伝子Dll3の各エクソンごとにシークエンスを行い変異を検索中である。Schwarz-Jampel syndromeは筋肉と脊椎に異常を来たし、Pumilio遺伝子の近傍にマップされているため遺伝子解析したが変異はなく、2000年にPerlecanであることが同定された。 3)ATDC5における催奇性因子の作用点については1)と同じ方法で施行しているが再現性が悪く、細胞の培養条件を含め、今後検討してゆきたい。
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