研究課題/領域番号 |
12670750
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田尻 仁 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (80183458)
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研究分担者 |
三代 俊治 東芝病院, 研究部, 部長
澤田 敦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60314324)
虫明 聡太郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90291947)
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キーワード | TTウイルス / 劇症肝炎 / 非A-非G型肝炎 / 疫学 |
研究概要 |
1.正常小児におけるTTウイルス(TTV)感染状況を調べる目的で、0〜15歳までの正常小児114例のTTV陽性率をN22領域およびnon-coding region (NCR)に設定されたprimerによるPCR法によって検討した。NCRのプライマーによる検討では1歳を境に80〜90%まで上昇するが10歳以降は逆に少し低下した。N22のプライマーでは7歳以降年齢と共に急に上昇したが13歳以降低下した。 2.C型肝炎母子感染追跡症例のうちHCV未感染で肝機能正常の32例について、NCRのプライマーを用いてTTV陽性化時期(感染成立時期)を検討した。生後1か月までが2例、2〜6か月17例、7〜12か月8例、13〜24か月3例であり、残る2例は18か月および24か月時まで陰性であった。このようにほぼ全ての小児が周産期から幼児期にかけてTTVに感染するものと考えられる。 3.非A-非G型肝炎小児患者31例(劇症肝炎3例を含む)においてTTV感染状況を調べた。N22のprimerを用いたPCRでは、非A-非G型肝炎患児の32%が陽生であり、正常小児と比べて有意差はなく、genotypeの分布にも差を認めなかった。さらにIgM型抗体の免疫複合体を調べたところ、非A-非G型急性肝炎8名中5名が陽性であり、慢性肝炎の5名には陽性者はいなかった。血清トランスアミナーゼ上昇時および正常化時と2点以上測定できた急性肝炎の3例においてIgM抗体の消失が確認された。劇症肝炎例ではポストの血清がなく、IgM抗体の変化を検討できなかった。以上の結果から小児期における原因不明の肝障害の一部はTTVの急性感染と関連している可能性が示唆された。
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