研究概要 |
常染色体優性遺伝する家族性単独成長ホルモン(GH)欠損症(ICHD)はIGHD type IIと呼ばれている.本症の一家系について遺伝子検索を行い,以下の結果を得た. 発端者は8歳女児で,2歳時にGHD[GH頂値:8.7ng/ml(insulin),8.3mg/ml(glucagon-propranolol),IGF-I:45.4ng/ml]と診断された(身長-4.5SD).妹もGHD[GH頂値:3.2ng/ml(insulin),3.1ng/ml(arginine),IGF-I:28.4ng/ml](身長-2.8SD)と診断され,父親も低身長(-4.5SD)を示した.母親の身長は正常(-0.5SD)である. Direct sequence法による発端者のGH遺伝子(GH-1)をpromoterを含めた検索の結果,GH-1遺伝子の第3intronの28番目の塩基がGからAへ置換した点突然変異(heterogenous)が認められた.この部分を特異的に切断する制限酵素EciIを用いて,家族のGH-1遺伝子検索を施行した結果,GHDの妹および低身長を示した父にこの点突然変異が確認された. In vitroの検討により,GH-1遺伝子の第3intronの28番目の塩基のGからAへ置換は,第3exonのexon skipをきたし,その結果不完全なGHが作り出されることが報告されており,本症はこれによりIGHDを来したものと思われる.
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