研究概要 |
1.新たに診断した生後4か月女児例には,合成コレステロールを用いたコレステロール補充療法を開始し,現在臨床症状を観察しながら経口コレステロール製剤投与による治療効果の有無をみたところ,血清コレステロールのコントロールはある程度可能だったが,現時点では顕著な臨床症状の改善をみるに至っていない.今後さらに継続して経過観察する必要があると思われる. 2.SLO症候群の特徴的臨床症状をもち,生化学的に7-DHC高値を示した2例(96-003,97-021)について遺伝子解析を行った. 1)96-003は1249番目のGがAに-塩基置換(CGG->CAG)しておりそのために352番目のArgがGlnに置換していた(R352Q).すなわち,96-003はR352Qのホモ接合体だった. 2)97-021も96-003と同一の1249番目の-塩基置換をヘテロにもっていた(R352Q).また,919番目のGがAに置換しており(CGC->CAC),そのために242番目のArgがHisに-アミノ酸置換していた(R242H).すなわち,97-021はR352QとR242Hのコンパウンドヘテロ接合体だった. 3.本研究で解析した日本人SLO症候群2症例ではこれまで報告のない2種類の新しいミスセンス変異だった.このことから,242番目ならびに352番目の、ArgはDHCR7蛋白の酵素活性に重要な役割を果たしていることが示唆されるとともに,DHCR7遺伝子が日本人SLO症候群においても原因遺伝子であることを確認することができた.
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