研究概要 |
Three color-flow cytometryを用いてG-CSFによる末梢血幹細胞動員中のドナー血中の樹状細胞サブセット(DC1とDC2)の動態を検討した。Lineageを示すモノクローナル抗体にはCD3,CD13,CD14,CD19,CD20,CD34,CD57を用いた。G-CSFの投与2日めから血中Lin(-)HLA-DR(+)細胞が徐々に増加し、Lin(-)HLA-DR(+)CD123(+)細胞は増加しLin(-)HLA-DR(+)CD11c(+)細胞は減少した。G-CSF投与後5日めにはLin(-)HLA-DR(+)CD11c(+)細胞がほとんど消失することもあった。このことからG-CSFはDC2優位の樹状細胞に誘導する可能性があり、これが同種末梢血幹細胞移植後は輸注リンパ球が多いにもかかわらず急性GVHDの発症および重症度が同種骨髄移植と比較してそれほど増加していないことに関連していると思われた。また、これらの樹状細胞をin vitroで種々のサイトカインを添加して培養するとIL-2の添加によりDC2優位がDC1優位に変化することが判明した。また、G-CSFで動員した末梢血幹細胞分画と臍帯血を比較すると優位にG-CSFで動員した末梢血幹細胞分画のほうが含まれる樹状細胞の割合が高かく、臍帯血のGVHDの少なさに関連していることが示唆された。以上から樹状細胞のサブセットの解析はGVHDの治療を含む今後の造血幹細胞移植に応用できるものと期待される。
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