研究概要 |
自家末梢血幹細胞移植を併用した超大量化学療法後に樹状細胞を用いた免疫療法を組み合わせて治療することが可能か検討することを目的とした。初年度は小児癌患者においてG-CSFで動員し採取し凍結した末梢血幹細胞分画を解凍しCD34陽性細胞を純化してinterleukin(IL)-3,granulocyte/macrophage colony stimulating factor(GM-CSF),tumor necrosis factor(TNF)-αを加え培養し、貪食能および抗原提示能を維持した樹状細胞が培養可能であった。また、同分画からCD14陽性細胞を純化しIL-4とGM-CSFを加えて培養しても機能を持つ樹状細胞が分離できた。平成13年度は凍結臍帯血からも同様の方法で樹状細胞が分離できたが、数的には十分ではなく工夫が必要であると思われた。また、G-CSFを投与しアフェレーシスで採取した単核細胞から抗CD1c抗体と抗BDCA-2抗体(Milteny Biotec社)を用いてリンパ球由来樹状細胞と骨髄球由来樹状細胞の分離ができた。平成14年度はthree color-flow cytometryを用いてG-CSFによる末梢血幹細胞動員中のドナー血中の樹状細胞サブセットの動態を検討した。G-CSFの投与により血中Lin(-)HLA-DR(+)細胞が増加し、Lin(-)HLA-DR(+)CD123(+)細胞は増加しLin(-)HLA-DR(+)CD11c(+)細胞は減少した。G-CSFはDC2優位の樹状細胞に誘導する可能性があった。以上からcell engineeringの技術により臨床応用可能な樹状細胞が小児癌患者からも得られることが判明した。また、樹状細胞のサブセットの解析はGVHDの治療を含む今後の造血幹細胞移植に応用できるものと期待される。
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