研究課題/領域番号 |
12670762
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
泉 達郎 大分医科大学, 医学部, 教授 (80119891)
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研究分担者 |
今井 一秀 大分医科大学, 医学部, 助手 (50295177)
前田 知己 大分医科大学, 医学部, 助手 (80264349)
古城 昌展 大分医科大学, 医学部, 助教授 (10215262)
和田 雅臣 大分医科大学, 医学部, 講師 (30295175)
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キーワード | West症候群 / 点頭てんかん / 皮質異形成 / 脳外科手術 / 長期予後 |
研究概要 |
脳外科手術を受けた点頭てんかん患児の精神運動発達と痙攣の転帰 難治性てんかん患者に対して病巣切除や、脳葉切除、脳梁離断術が有効であるとの報告があるが、点頭てんかん患者が脳外科手術を受け、長期間経過観察をした報告は少ない。今回は脳外科手術を受けた点頭てんかん患者で、術後、1年以上経過観察をしている症例の点頭てんかんをはじめとするてんかん発作、精神運動発達、他の神経学的所見、日常生活の質等を検討した。 症例:脳外科手術を受けた点頭てんかん患者4例で、術後1-6年間以上経過観察を受けていた。3例は生後3日、14日、1ヵ月時に局在関連てんかん、部分運動発作で発症し、MRI上局在性皮質異形成を認めた。他の一例は生後6ヵ月潜因性West症候群で発症し、ACTH治療前のCTは正常であったが、点頭てんかんは難治でACTH療法を4クール反復し、各種薬剤にも抵抗を示し、ACTH療法3クール後より脳梁に多発性嚢胞を認めた。皮質異形成の3例は9ヵ月-5歳時に病巣切除術やMSTを受け、潜因性West症候群の1例は8歳5ヵ月時でも点頭てんかんは持続し、独座も不能であった。脳梁に多発性嚢胞もあったため、全脳梁離断術を受けた。 結果と考察:4例全例の点頭てんかんは消失し、うち1例は抗痙攣を中止した後も、てんかん発作は消失している。ACTHを反復し、長期大量の抗痙攣剤治療を受け、手術時期が遅れた症例の知的発達は不良で、ACTH療法をせず、9ヵ月で手術を受けた症例は発作は完全に消失し、ほぼ正常の発達を示した。手術を受けた4例全例が言語や歩行、日常生活の質は改善した。機能的、解剖学的に正常な対側大脳半球の存在が、術後の精神運動発達、痙攣の予後決定に重要な役割をしていると思われた。
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