脳発達におけるグリア細胞成長因子(GMF-β,GMF-γ)の分子作用機構

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12670767
• 研究機関: 名古屋市立大学
• 研究代表者: 浅井 清文 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (70212462)
• 研究分担者: 三浦 裕 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (90285198)
• キーワード: グリア成長因子 / EIA

研究概要

本年度は、ラットGMF-β(以下GMFB)、GMF-γ(以下GMFG)定量のためのEnzyme Immunoassay(EIA)系の確立、及び、GMFGのgenomicDNAの解析を中心に研究を進めた。
[1]Enzyme Immunoaasay(EIA)系の確立:昨年度作製した、ラットGMFB、GMFGに対する特異的抗体を用いてサンドイッチ法によるEIA系を作成した。抗血清よりIgGを精製し、パパインで消化しF(ab')_2とした後、還元によりFab'としβ-Galactosidaseを導入した。ビーズにF(ab')_2を固相化し、Fab'-β-Galとで抗原を挟むサンドイッチ法を確立した。本法では、ラットGMFB、GMFG間での交差反応はほとんど検出されなかった。また、ヒトのGMFB、GMFGも測定が可能であった。ヒトの血清中、ラット臓器中のGMFB、GMFGの濃度が測定できる感度を有することを確認した。今後、本EIA系を用い、ラットの発達に伴う発現変化、各種病態下における発現変化について検討するとともに、ヒトの病態下の変化も血清を試料に検索を進める予定である。
[2]GMFGgenomicDNAの解析:ヒト及びマウスGMFGのgenomicDNAをクローニングし、塩基配列を決定した。その結果、GMFGは7つのexonより構成されることが判明した。Promoter部位はTATA lessで、housekeeping gene様のGC rich promoterであり、転写開始点が数カ所あることも判明した。現在、enhancer領域の解析を進めている。

研究成果

• [文献書誌] Yamamoto, N. et al.: "Regulation of aquaporin-4 expression in astrocytes"Mol Brain Res. 95. 110-116 (2001)
• [文献書誌] Nishiwaki, A. et al.: "Expression of glia maturation factor during retinal development in the rat"Mol Brain Res. 95. 103-109 (2001)
• [文献書誌] Yamamoto, N. et al.: "Alterations in the expression of the AQP family in cultured rat astrocytes during hypoxia and reoxygenation"Mol Brain Res. 90. 26-38 (2001)
• [文献書誌] Yoneda, K. et al.: "Regulation of aquaporin-4 expression in astrocytes"Mol Brain Res. 89. 53-60 (2001)
• [文献書誌] Nakanishi, K. et al.: "Recurrent subthreshold electrical activities of rat neocortical neurons progress during long-term culture"Neurosci Lett. 304. 85-88 (2001)
• [文献書誌] Fujita, M. et al.: "Regulation of rat bippocampal neural cadherin in the kainic acid induced seizures"Neurosci Lett. 297. 13-16 (2001)