研究課題/領域番号 |
12670770
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
岡野 善行 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60231213)
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研究分担者 |
久野 みゆき 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00145773)
川村 智行 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60271186)
稲田 浩 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (00244640)
宮崎 純一 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10200156)
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キーワード | グルタメイト脱水素酵素 / アンモニア / インスリン / 分子遺伝学 / 低血糖 / 先天性代謝異常症 / 遺伝子変異 |
研究概要 |
高インスリン高アンモニア血症の発症原因として、glutamate dehydrogenase (GDH)の異常が同定されている。本疾患はGDH酵素のGTPの抑制制御が失われるためGDH活性の上昇をきたし、肝臓では高アンモニア血症を膵β細胞では高インスリン血症をきたすとされている。これまでヒトで同定された高インスリン高アンモニア血症の遺伝子変異は1)Pivot helixのGTP結合部位、2)アンテナ様構造のα-helix、3)エクソン6と7領域のGTP結合部位の3カ所である。それぞれの領域について、正常GDHcDNA-pCDNA3からsite-directed mutagenesis法で変異GDHcDNAを作製し、FLP-FRT組み換えシステムを用いて正常及び変異GDHcDNAアデノウイルスベクターを作成した。COS細胞に感染させ、GDH酵素基礎活性とGTPの阻害効果を測定した。COS細胞のみの基礎のGDH活性と比較して、正常GDHcDNAを感染させたCOS細胞は5倍の基礎GDH活性を示し、異常GDHcDNA遺伝子(265、296、410、413、445、446変異)を感染させたCOS細胞は正常GDHcDNAと同等から2.5倍の基礎GDH活性を示していた。基礎値を100%とした場合のGTPの制御効果は、Lacz、正常GDHcDNAでは著名なGTP制御効果が認められた。一方、異常ではその抑制効果の減弱は少なく、410と413がそれに次ぎ、265と296は抑制効果がほとんど認められなかった。以上のように高インスリン高アンモニア血症の場合、その臨床症状は相似であったとしてもその遺伝子変異の場所により、GDH活性に与えるメカニズムは異なっていると考えられた。今後インスリン分泌やアンモニア処理に与える影響の検討とモデルマウスの作成を行う予定である。
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