研究概要 |
小児期発症1型糖尿病患者の発症に関わるIDDMK1,2-22遺伝子多型の関連の意義 昨年までの研究で(1)活性のあるHERV-K遺伝子を単離し、IDDMK1,2-22遺伝子を特異的に増幅し、FNV領域に610bpをクローニングしてその塩基配列を決定。(2)5'末端(最初のメチオニン(Met)codon)から339(290)および510(461)番目の塩基(nt)に各々(A/G)(A/G)のアミノ酸置換を伴った塩基置換を見いだした。平成13年度はこの2つの多型の意義について検討した。 1.IDDMK1,2-22のENV蛋白N末端で見いだされた2つの多型と1型糖尿病の相関。 小児期発症1型糖尿病患者を次の3群に分けて検討した。(1)乳幼児発症1型糖尿病(5歳未満急性発症)(E群)、(2)5歳以上の急性発症1型糖尿病(A群)、(3)ゆっくり準行する1型糖尿病(S群)。上記A/G, A/G多型が患者群、対照群で有意な差を認めるかどうかについて検討した。この結果、E群において510番目のG/Gホモの頻度が対照に比し有意に高いことを明らかにした(J Hum Genet 46:712,2001)。その意義をさらに確実にするため、E群の症例を増やし、現在解析中である。一方、S群においては339番目のGの遺伝子頻度が対照に比し有意に増加していた。この意義についても検討を進めている。 2.両親・兄弟を含めた多型解析とインプリンティング遺伝子としての意義の解明 インスリン遺伝子5'上流に,VNTR多型が認められ1型糖尿病発症と相関すると報告されている.また、この領域はゲノムインプリンティングを受けやすい部位である。IDDMK1,2-22の局在するlq21-22がインプリンティングを受けやすい領域かどうかまだ不明である。両親、兄弟より分離したDNAを用いて、methylation-specific PCR法を用い、実際にインプリンティングを受けているかどうか検討している。HLA抗原遺伝子においても行う予定である。この研究は北里大学医学部倫理委員科の承認を得て研究を行っている。
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