研究概要 |
Williams syndrome(WS)は特徴的な顔貌、精神発達遅延、特異的認識異常と心血管異常を伴う疾患である。そしてWSは、染色体7番11.23領域における約1.5Mb欠失(約20ヶの遺伝子を含む)が原因となり生じることが報告されている。今回の研究における主目的は、遺伝子とこの疾患の表現系との関係を探ることにある。我は、共通欠失範囲内において24ヶのBACs, Cosmid cloneを用いたcontig mapを作成し、これらのclonesを用いたfluorescence in situ hybridizationをWS症例に行った。その結果、日本人3症例において、欠失範囲が普通より短く、表現系も軽度である症例が発見された。さらに、この非典型例の3例の表現系を、典型的欠失範囲を有するWS症例と比較することによって、欠失範囲内に存在する遺伝子の意義を検討した。この比較検討は、WAIS-R, WISCなどの知能テストを含めて行われた。その結果、この非典型例の3例は、この疾患に特徴的な顔貌所見が欠如し、視空間認識は典型例に比較し軽度であった。この結果、GTF2IRD1とGTF2Iは、視空間認識と異常顔貌の原因遺伝子である可能性が判明した。これらの詳細な結果は、Genetics in Medicine(Vol.5(4)July/Augusr P311-321)に記載されている。
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