<研究の目的と背景> 先天代謝疾患への根治療法として遺伝子治療の開発が非常に期待されているが、遺伝子治療が臨床の現場で一般化されるには既存のベクターでは不可能で、高い遺伝子導入効率と導入遺伝子が長期発現するような新たな遺伝子導入ベクターの開発こそが最重要課題である。本研究では、新たな遺伝子導入ベクターを2つ開発し、それによる新世代肝遺伝子治療法を開発し、さらに具体的な臨床応用を考え血友病モデルマウスで臨床応用の可能性を検討することまで行う。 <今年度の研究成果> 2つの新規の遺伝子導入ベクターを作成した。一つはレトロウイルスの構造遺伝子を発現するアデノウイルスベクターであるキメラウイルスベクターであり、これはin vitroで確かに機能することも確認した。もう一つは免疫原性を克服し生体内での長期発現が可能とさせるため、ヘルパーウイルスを用いて作成することでウイルス構造遺伝子を除いたガットレスアデノウイルスベクターであり、これはin vitroでの機能解析をおこなっている。両者とも作成が複雑で特殊技術を要するものであるため、その最適化もまた強力に進めている。 <今後の研究について> 今年度は計画通り順調に2つの新規ウイルスベクターを開発、作成することができた。平成13年度は、このベクターをin vivoで肝遺伝子導入を行い、本当に生体内で遺伝子導入効率と長期発現が可能になるかを検討する。そして最終的に血友病モデルマウスにて、高い臨床効果を示すものか、そして人での臨床応用の可能性について検討する。
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