研究概要 |
産業医科大学病院小児科外来および関連病院に受診した遠隔期および急性期の川崎病患者26名、健常ボランティア8名より、担当医師の説明後、文書にてインフォームドコンセントを得た上で血液を採取した。末梢血白血球からスピンカラムを用いてDNAを抽出し、実験までディープフリーザーに保存した。候補とした遺伝子多型の内、すでに報告されているプラスミノゲンアクチベータインヒビター1遺伝子のプロモーター領域の4G,5G多型がプラスミノゲンアクチベータインヒビター1の血中濃度に影響すると報告されていることから、まずこれを検討することとした。 プラスミノゲンアクチベータインヒビター1遺伝子の4G,5Gアリルそれぞれに特異的な下流プライマーおよび共通の上流プライマー、増幅のコントロールとなる下流プライマーを以前の報告に準じて設計し、作成した。これを用いて4Gアリル、5Gアリルとも検出可能となるようにPCR条件、電気泳動条件を設定した。この条件により保存した川崎病患者および健常ボランティアのDNAについて配列特異的PCRを行った。これまでに試験的に計約30検体を処理した。今後は川崎病症例数を増やし、また50人ほどの健常ボランティアの検体について同様の処理を行い、プラスミノゲンアクチベータインヒビター1遺伝子の4G,5Gアリルの頻度を川崎病患者と健常対象で比較し、また、川崎病患者で急性期に冠動脈病変を来たした群と冠動脈に変化のなかった群とで各アリルの頻度に差がないかを比較する。
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