1)アトピー性皮膚炎患者と健常人の末梢血単球および樹状細胞の種々の刺激に対するサイトカイン産生の違いに関して 健常人、アトピー性皮膚炎患者それぞれ13人に関して種々の刺激に対するサイトカインの産生量を測定した。 a.アトピー性皮膚炎患者由来単球は、LPS刺激後のIL-10の産生が、健常人由来単球に比して有意に増加していた。一方、LPS刺激後のGM-CSFの産生は有意に抑制されていた。一方、IL-12p40の産生は、種々の刺激に対して健常人単球に比して有意に低下していた。しかし、IL-12p70の産生に関しては、有意差は見いだせなかった。 b.アトピー性皮膚炎患者由来樹状細胞に関しては、LPSあるいは、抗CD40抗体刺激に対するIL-12p40およびP70の産生が、健常人由来樹状細胞に比して有意に低下していた。 2)アトピー性皮膚炎患者と健常人の末梢血単球および樹状細胞の種々の刺激に対するco-stimulatory molecules発現の違いに関して a.アトピー性皮膚炎患者由来単球は、IL-4刺激に対してCD23分子の発現を健常人由来単球に比してより著明に増強した。 b.アトピー性皮膚炎由来樹状細胞は、抗CD40抗体刺激に対して、健常人由来樹状細胞に比してCD83およびCD86分子の発現増強が有意に抑制されていた。 3)アトピー性皮膚炎患者(9例)と健常人(13例)とのDC1とDC2の比較においては、アトピー性皮膚炎患者においてDC2の比率が増加していたが、統計的に有意差はなかった。 以上の研究結果は、アトピー性皮膚炎患者においては、T細胞のみならず抗原提示細胞にもT細胞をTh2有意の細胞に誘導する作用が存在することが明らかとなった。 また、これ以外に、我々は、アトピー性皮膚炎患者の尿中leukotriene E4の定量を行い、尿中leukotriene E4の値がアトピー性皮膚炎患者の病勢を推測する極めて有用なマーカーであることを見いだした。
|