研究概要 |
申請者らは,従来の保存的治療では治療に抵抗する難治性皮膚潰瘍への応用を目指し,三次元培養系を用いた自家皮膚の再構築に関する基礎的研究を行ってきた.平成12年度に以下の研究結果を得た.1)同一ドナーの皮膚から線維芽細胞と表皮細胞を別個に初代培養して凍結保存する方法を確立した.2)これらの細胞を保存状態から再び培養系に戻した後,線維芽細胞をL-アスコルビン酸添加DMEM培養液中で三次元構造を構築させ,その上に表皮細胞を播種することで,紡錐形〜類円形の表皮細胞が生着することを確認した.3)表皮細胞の重層化には表皮細胞用のDefined Keratinocyte Serum Free Mediumが必須であることを明らかにした. 平成13年度は臨床応用前の基礎研究として,難治性皮膚潰瘍の重要な成因の1つである低酸素状態下(主に血流障害に起因)での細胞外基質関連遺伝子のmRNA発現の変化をnorthern blot法で解析するとともに,移植皮膚の生着率を向上させるための血流改善を目的とする治療法についても検討した.その結果,1)低酸素状態では有意にIおよびIII型collagenのmRNA発現が低下し,matrix metalloproteinase 1のmRNA発現が上昇することを再確認した.2)さらに,低酸素状態から正常の酸素濃度に培養条件を変更することによって,これらのmRNA発現が元のレベル近くまで復することを確認した.3)末梢循環不全により皮膚温低下,レイノー現象,皮膚潰瘍を示した全身性強皮症患者では,ニトログリセリン含有テープ貼布により,有意の皮膚温上昇が見られ,血流改善のための治療法の1つの選択肢となり得ることを証明した.
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