研究概要 |
プリオン病はプリオン蛋白(PrPc)が変換してプリオン変異蛋白(PrPsc)を構成することによって生じる疾患である。本疾患の発症の誘因として,皮膚内にPrPscを投与することによってPrP病を誘導できることが報告されている。皮膚における免疫担当細胞として表皮ランゲルハンス細胞(LC)は種々の抗原を所属リンパ節に誘導しT細胞を活性化することができる細胞である。これまでLCを純化することに成功しており,このLCあるいは表皮ケラチノサイト(KC),さらにThy-1陽性樹状表皮T細胞(DETC)を用いて,PrPcの発現,制御について検討した。以下のことを明らかにした。(1),マウス表皮LC, KC, DETCはPrPcを発現することを,Immunoblot, FACS, RT-PCR法で明らかにした。(2),PrPc遺伝子欠損マウスではこれらの細胞におけるPrPc発現は認められなかった。(3),純化したLCを用いた検討では,TNF-αやIL-1βなどprimary cytokineがLCがPrPc蛋白発現を増強し,GM-CSFはこれを抑制していた。 以上から種々の刺激によってLCのPrPc発現調節が制御を受けること,LC, KC, DETCがPrPscのtargetとなりうる可能性があることが示された。本研究はPrP病の誘因として皮膚の役割を考える上で重要であると考えられた。
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