本研究は6番染色体長腕(6q)6q16.3-q23領域に存在することが予測される黒色腫の転移抑制遺伝子の同定と単離を目的としている。 今年度は、まず、黒色腫の切除組織標本30検体を選び、6q16.3-q23領域のLOHを調べた。その結果15例(50%)の検体に同領域のLOHが検出された。さらにこれらの15例につき、6q16.3-q23にマップされた13種類のマイクロサテライト多形マーカーによるfine deletion mappingを施行したところ、D6S268からD6S292までの40cMの領域に欠失が集中していることが明らかとなった。 一方、6qの未知の遺伝子は、黒色腫の転移抑制遺伝子Kiss1の発現を調節していることが推測されるので、同一のサンプルにおけるKiss1遺伝子mRNAの発現をRT-PCR法により検索中である。現在のところ、対象例はKiss1発現陽性例と陰性例に別れるようであり、この成績と6qのLOHとの関連を今後さらに検討していく予定である。 なお、将来的なより詳細な検討のために、現在黒色腫切除標本から細胞株の樹立を試みている。
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